例年なら9月でも島は夏の気配なのですが、今年の9月は上旬の長雨で大地がクールダウンし、すっかり秋の気配となりました。台風一過の清々しい秋晴れの日に島の中央に位置する嵩山(だけさん)に登ってきました。標高は島の中なのに618メートルもあり、山頂には瀬戸内の島なみを一望できる展望台とパラグライダーの発射台があります。島に移住してから、ちょっとリフレッシュしたくなった時に登る手軽で大好きなスポットなのです。
登山の途中には島の特産のみかん畑が連なっています。この時期はまだ蜜柑の収穫にはちょっと早くて青い果実ですが、秋の実りを期待させるほどに、たわわに実っております。今年はおいしいみかんが沢山採れそうです。
ちなみに、みかんの樹の下が白いのはマルチシートというシートを張っているためです。地面からも太陽光が反射して美味しい実になるほか、地面からの水分蒸発を抑える役目も果たしています。さらには防草としての意味もあります。
当園でも栽培しているかんきつ類が順調な成長をしています。下の写真はまだ青いブラッドオレンジ。果肉がブラッド(血)のように赤いオレンジで、ヨーロッパではとてもメジャーな柑橘ですが、瀬戸内では近年やっと本格的な生産が始まったばかりの柑橘です。もちろんこの島の中でもまだまだ手に入らないので、こうして自家農園で栽培を始めたのです。この冬にブラッドオレンジを初収穫出来そうで、いまから楽しみにしています!
下の写真は自家農園のレモン。まだ果汁が少ないのでもうしばらく樹上で生育を待ちます。11月ごろの収穫が楽しみになってきました!
そして、秋の味覚の王様といえば「クリ」!今年もこの時期がやってきました。今年は当園のクリの収穫量も増えてきており、今後が楽しみな状況に。大規模なクリ産地では収穫後、虫を殺すために燻蒸処理を行うのですが、当店では燻蒸処理をするまえのクリのみを使用しています。
下の写真は出来立ての熱いクリジャムを瓶詰めしていく最中の風景。クリの皮むきはとても手間のかかる作業なため、どうしてもクリジャムは限定生産品となります。ご希望の皆様にお届けしきれないのが、毎年残念なのですが・・・是非味わってみてください!
一方、当店のカフェで始まったのが「島のいちじくフェア」。夏の終わりを告げる果実「いちじく」。こちらも今が旬です。品質の良いいちじくをたくさん生産されていたいちじく農家の小林さん。大規模な農地改良・砂防ダムの建設の計画エリアとなってしまい、今年ですべてのいちじくの樹を切ることになってしまいました。これまで当店のいちじくジャムの半分は小林さんのいちじくだったので残念です・・・さらに、ご高齢のため、新たにはいちじくを植樹しての栽培はしないとのこと・・・。そこでわたくしたちジャム屋が小林さんのいちじくの樹から枝を採り、苗木に育て、当園で自家栽培するプロジェクトが始動。小林さんが育てていたいちじくのDNAが「果樹として」、「想いとして」我々に受け継がれていくこととなります。
下の写真は小林さんのいちじくで創った今年の新作いちじくスイーツ。是非お召し上がりください!
話しは変わりますが、皆さまも中秋の名月、ご覧になりましたか?島もこの日は快晴だったのでくっきりとした美しいお月様を観ることができました。ちょうどジャム屋の前の小さな島影から夕刻に満月が登り始めると・・・宇宙が織りなす大劇場に酔いしれないではいられません。
その前日だったと思いますが、島であるイベントを開催しました。島へのUIターンを応援する会「島くらす」主催のバーベキュー大会。日本バーベキュー協会直伝のテクニックで仕上げるバーベキューは最高においしかったのですが、それ以上に、島に移住したり移住に興味があったり、そんな人たちを応援したい人たちが70名弱も集まったことに感動しました。新しい出会いがあり、新しいことが次に生まれる予感が、同じ場所にいてワクワクしました。過疎高齢の島だけど、前向きな人がいる限り可能性は無限大です!!
最後に、四国から視察にお越しになられた方々の紹介をさせていただきます。来たる9月20日金曜日に愛媛県からお越しになられたのは有機栽培みかんなどで有名な「無茶々園」の社長と6名の社員の方々。実は過去に私は無茶々園に視察に行ったことがあり、とても感銘を受けて帰ってきた覚えがあります。そんな会社の社長と社員の方々を当店でお迎えできるとは大変光栄なことです。そして何より驚いたのが、社長以外同行してきた社員の皆さんは全員、移住者だったということです!信念を持って取り組んできた無茶々園の生き様がこうして若くて一緒に事を興したいと思える人々を寄せ付けて、心を離さないのだと思います。ジャム屋もいつの日か、地域に新し風を吹き込む人材を輩出できるほどの会社になっていきたいと思いを新たにしました。
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